五拾画廊 浮世絵コレクション!|fifty-gallery

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古美術や浮世絵、絵画、美術関連のコラム

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たかが紙一枚、されど紙一枚 / 第七回

2017年8月11日  


 

のんびり、深く、愛らしい。

〜 山の版画家、畦地梅太郎の世界 〜

文と構成:吉 いと子


 

「山」といえば、畦地梅太郎

 

お待たせしました、お久しぶりの連載再開!

8月に連載を再開させるにあたって、昨年より施行された新しい休日「山の日」にちなんで是非皆様にご紹介したい作品があります。それが、実は山の愛好家には以前から親しまれている愛媛出身の山の版画家、畦地梅太郎(1902-1999)です。

当五拾画廊は、肉筆浮世絵、春画を中心に古美術を扱う画廊。扱う作品のほとんどは江戸〜大正時代の作品です。しかし、稀にお客様のコレクションを引き継いで、近代版画のお取り扱いをすることもございます。

その中でも、我らが店主もお気に入りの秘蔵コレクション。それが、畦地梅太郎。個人的に筆者が近年再評価されて急激に人気が出て、もしや、大ブレイクするのでは?って思っている、そんな版画家さんです。初めて見た時、私は正直「最近のアーティストの作品かな」と思ったものです。

百聞は一見にしかず。まずはご覧ください、畦地梅太郎の「山」シリーズでも特に際立つ、「山男と雷鳥(らしき鳥)」シリーズ。

鳥と山男 畦地梅太郎 あぜち うめたろう

『鳥と山男』(1955年)

 

やまのなかま 畦地梅太郎 あぜちうめたろう

『やまのなかま』(1956年)

 

大胆な構図、ほぼ面と線だけのシンプルな省略表現。主張しすぎずセンスの光る、控えめながらモダンな色使い。これ、まるで近年日本で大ブレイクした「北欧デザイン」の如し、だと思いませんか?同じベクトル上にあると思われる民芸よりも、さらに一歩近代化している、という印象。レトロ感もあるのに、レトロすぎない、斬新というよりは常に衰えない「新鮮さ」を感じるのです。

実は五拾画廊内にある店主の趣味のエリアにこの数年、ずっとかけてあったのがこの「鳥と山男」なのです。何とも言えない愛嬌があって、じわじわと愛着が湧いてきます。

 

4つの時代を生き、山を描く。

 

明治-大正-昭和-平成を股にかけて生きた畦地梅太郎の生きた時代は、まさに日本が激変した時代。幾つかの血なまぐさい戦争、目まぐるしく移り変わる後期文明開花に高度経済成長にバブル崩壊。ところが、同時代の作家と比べても、畦地の作品は全くその悲壮感や慌ただしさや浮足立った様子とは無縁に思えます。戦中戦後は満州や戦後の風景を描いたシリーズもあるのですが、やはり見る者の心が不安になるような暗さやおどろおどろしさはほとんどないような。何か強烈なメッセージを発する、といった性格のものではなく、山や山男を介して表現し続けた一連のシリーズのように、ちょっぴりとぼけた愛嬌を湛えて「ただそこに在る」というまさに、泰然自若、山のごとし、な作品たちです。

 

ストーブの前 畦地梅太郎 あぜちうめたろう

『ストーブの前』(1954年)

 

白い手袋 畦地梅太郎 あぜちうめたろう

『白い手袋』(1960年)

 

抽象造形版画への挑戦、恩地孝四郎のことばで山に戻る?

 

そんな畦地梅太郎作品に大きな変化があったのは、国際的な展覧会に数多く出品し、高い評価を得るようになった頃に手がけた、1960年台の抽象造形版画。この頃の作品は、国際展を意識してか少し大きめの作品もいくつか摺られています。五拾画廊でお取り扱いがあるその内の一枚、「青凍」は版画としては大きめの作品でもあり、インパクトがあります。でも、何者にも流されない畦地梅太郎にしか描けない、飄々とした泰然自若さは、この頃の作品には無いように思います。

もしかして同様に感じたのでしょうか。当の畦地梅太郎が抽象造形版画に違和感を感じていた頃、かの恩地孝四郎に「君は抽象より具象の方がいいよ」と言われた、というエピソードが残っています。全く素直に、1965年頃から抽象造形版画をやめ、再び山の作品を作り始めます。

そう考えるとこの頃の抽象造形版画のシリーズは、畦地版画の中ではとてもレアな作品と言えるかもしれません。

 

青凍 畦地梅太郎 あぜちうめたろう

『青凍』(1960年)

 

1982年、畦地梅太郎に届いた一通の手紙

 

畦地梅太郎の、とても好きなエピソードがあります。

1982年、畦地は一通の手紙を受け取ります。その主は「ノーベル賞に敬意を表す会」からのもの。

その内容は、同国人のノーベル賞受賞者の栄誉を更に高めるための版画連作の制作依頼でした。具体的には、ノーベル文学賞を受賞した川端康成を讃えるための版画で、授賞式のある翌年までに完成させて欲しい、という依頼。この年他の国で依頼を受けた芸術家の中にはかのホアン・ミロもいて、畦地の国際的評価の高さを伺わせます。

畦地本人も「身に余る光栄」と感激して返事を送ったといいます。しかし、この時既に80歳。550点もの版画制作を1年と数ヶ月で仕上げることにもし間に合わなければ…と辞退したといいます。けれど、諦めきれない同会からは、初期作品の流用や、作品数を減らしてでもよいので是非、と再三のラブコールがあったそう。それでも自分で描き、彫り、摺ることにこだわっていた畦地はこの申し出を断ったのだそうです。

私個人の想像ではあるけれど、もちろん、年齢的な不安や制約があったにしても、このエピソードからは自分自身の名声よりも、栄誉にふさわしい作品を自分自身の手で誠心誠意心を込めて作りたい、という妥協を許さない真摯な作家の思いを感じるのです。

 

親子の水 畦地梅太郎 あぜちうめたろう 

『親子の水』(1975年)

 

「ただいま」といいたくなるような。

 

畦地作品はこの他にも、山そのものを描いた風景作品、野山に暮らす生き物を見つめた作品、山の家族、山の子供たちの作品などがあります。そのいずれも、シャープな線やビビッドな色合いのものがありながら、つい「ただいま」と言いたくなるような優しさと懐の深さを感じさせるのです。

これを例えるならば、やはり「山」。

版画でありながら、まるで故郷の山のよう。

今年の夏、故郷の山を眺めたり、山に登られる際は、畦地の描いた山や、山の生き物や、山男たちを思い出すと、ちょっと楽しくなるかもしれません。

 

四国の山 畦地梅太郎 あぜちうめたろう

『四国の山』(1957年)

『四国の山』(1957年)

吉 いと子 (五拾画廊たまに手伝い、フリーライター)

☆五拾画廊ホームページ連載「たかが紙一枚、されど紙一枚」では、皆さんの知りたい浮世絵、春画にまつわるご質問をメールで受け付けております。お寄せいただいたご質問の中から厳正な抽選の上、当連載の本文中でご回答させていただきたく思います。採用された方には特製、春画ポストカードをプレゼント。→ info@fifty-gallery.com へどしどしご応募ください♪

たかが紙一枚、されど紙一枚 / 第六回

2017年4月26日  


 

〜 劇画のパイオニア、月岡芳年の世界 〜

文と構成:吉 いと子


 

五拾画廊店主もご贔屓。稀代の絵師、月岡芳年

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『玉兎 孫悟空』(1886年)より、五拾画廊Facebookアイコン

稀代の浮世絵師、月岡芳年。

我らが店主のお気に入りの絵師でもあり、五拾画廊のFacebookアイコンも、実は芳年の絵です。五拾画廊でも実際に、これまで多くの芳年作品を扱ってまいりました。

浮世絵師も数多(あまた)おれど、芳年はちょっと特別。ネットで「芳年」と検索いたしますと、ブログやまとめサイトの記事などなどで「これが江戸時代の絵なんて信じられない!」「昔にすごい絵師がいた!」などなど現代っ子にも大人気の様子。

さて、いったい芳年の何がそんなにも現代人を魅了するのでしょうか?今も色褪せない芳年の画の魅力に、今回は触れていきたいと思います。

斬新。でも、それだけじゃない。

月岡芳年が活躍したのは幕末〜明治前期。動きや構図に迫力、そしてユーモア満載の大人気の浮世絵師、歌川国芳に12歳で入門した国芳直系のお弟子さんです。入門当時は武者絵、役者絵などを描いて研鑽(けんさん)を積みました。

ところで、浮世絵、というとパッと浮かぶのは芳年の師匠の国芳はもちろん、北斎、写楽、広重などが描いた絵柄をイメージしませんか?

江戸時代っぽさを表す代表格として、たびたび広告などでも使われているせいかもしれませんが、「ちょっと昔の日本」というノスタルジーを感じる「浮世絵」の一般的なイメージというのは、少なからず定着しているように思います。

かたや芳年の絵…ほぼノスタルジックなイメージはないような。人物の動き、構図、目線など、すべてが、江戸や明治期、あるいはそれ以前の時代のの装束をまとっていたとしてもなぜだか「今っぽい」感じがするのです。

芳年の絵は、それが江戸の風俗を描いたものであっても、時事の最新ニュースを描いたものでも、故事を元にしたものであっても、構図も絵柄も線の描き方も鮮やかだったりパステル系だったりの色使いも、ずば抜けて斬新です。

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『藤原保昌月下弄笛図』(1883年)

風、匂い、温度…目には見えない空気。

美人画に至ってはただ漫然と美人を描くに止まらず、『風俗三十二相』のシリーズに代表される「その瞬間」を的確に描ききっています。風に吹かれて涼しそうな瞬間、煙たくて顔をしかめた瞬間、お灸のもぐさの熱さに耐える「あっつい」瞬間…など

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『風俗三十二相(左から)すずしさう、けむさう、あつさう』(1888年)

私見ではございますが、それまでの絵師が目に見えるものを余すところなく描こうとしてきたのに対し、芳年は「目に見えないもの」を描こうとしていたような気がしてなりません。「目に見えないもの」と申しましても、想像や空想の世界だけではなく「確かにそこにあるのに見えないもの、形のないもの」を。

例えば、風や匂い、温度、感覚…それを見せるために、細やかなディテールや表情、動作の詳細をまるで写真のように、ディテールにこだわり抜いて描き留めていきました。それは、時代こそ違えど、ロバート・キャパがライカを操ってその場の空気を写真として切り取っていたかのように。絵筆を操ってカメラのように瞬間の空気を切り取っていた、と私には見えてなりません。

そう、芳年の絵には「空気」と「時間」が流れているのです。

動きのあるものの瞬間をとらえる、といえば近い時代では北斎の「神奈川沖浪裏」が有名です。寄せては返す波の一瞬…。

まだ写真技術が開発されて間もなく、写真のドライブモードもストップモーションも開発途上の時代に、目視だけでこの絵が描けたということが何よりの脅威です。芳年は、この「神奈川沖浪裏」にかなりのインスパイアをうけたのではないかと思われるような波の表現も、いくつかの絵に見ることができます。

また、芳年と同時代を生きたイギリスのエドワード・マイブリッジという写真家がいます。彼は初めて高速度撮影(ストップモーション)、そして連続写真を成功させた人。同時代、芳年の存命中に、動物や人間の動きを連続写真によって解明したのです。

これまた飽くまで私の想像なのですが、どこかから芳年がこのことを聞き及んで、もしくは実際に目にして、生き物の「動きの瞬間」にとても興味を持った、とそんな気がしているのです。

芳年の映画的視点

芳年は現代漫画にも通じる劇画の先駆者、とも言われています。

そんな芳年の絵を映画で例えると、一番しっくりとくる気がしています。

ハリウッド級の冒険活劇、アクション映画、生き様を描くヒューマンドラマ、もしくはスプラッタホラー??

以下に掲載するのは、五拾画廊でもお取り扱いのある(もしくはあった)芳年の作品の数々の中から、「映画的な」作品たちです。

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『西郷隆盛切腹図(三枚続き)』(1877年)

※西郷隆盛の切腹が船上で行われたとの誤報から(実際は丘の上)描かれた錦絵。

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『三国志図会内 玄徳風雪ニ孔明訪フ(三枚続き)』(1883年)

※有名な三国志のエピソード「三顧の礼」の一節

いかがでしょうか。

歴史上の実話や寓話に基づく絵に至っては、まるでワイドスクリーンで映画を見ているかのような気分になりませんか?

また、芳年は妖怪や血みどろ絵、無残絵と言われたスプラッタホラーのような絵も多数描いております。

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『襟垂保輔鬼童丸術競図』(1885)
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『奥州安達ヶ原ひとつ家の図』(1885)

上の図は、赤山の乾の谷において強盗の首領『袴垂保輔』と『妖童鬼童丸』が妖術を戦わす場面。鬼童丸が鳥達をけしかけると、保輔は負けじと大蛇を繰り出している…という図です。これまた、映画のワンシーンのようです。

下の図は、現在の福島県二本松市にある鬼婆の伝説から。かつて京都の公家屋敷に乳母として奉公していた岩手、という女性がおりました。岩手は溺愛する姫の生まれながらの病をなんとか治してやろうと胎児の生き胆が効く、という占いを信じて旅に出ます。ところが、狙って殺した妊婦は自分の実の娘だったことを知り、心を病んでしまいます。その末に鬼婆となり、旅人を捉えてはそれを食していたという伝説に基づくものです。

黴くさい家の空気感や、ぐつぐつと囲炉裏端で煮える湯の音までしてきそうです。ただ、なぜかしらどんなに血生臭く陰惨な場面を描いても、どこか芳年の絵には何歩も退いてみているようなユーモラスな感覚があるような気がします。

芳年の絵、みなさんは、どんな感想を持たれたでしょうか?

芳年はとにかく、多作。またいずれ特集記事を書いてみたいと思います。それでは、次回も、お楽しみに!

 

<お知らせ>

ゴールデンウィークに東京プリンスホテルで開催される、歴史ある「ザ・美術骨董ショー」。

五拾画廊は今年も、出展いたします。

全国の骨董屋さんが集まるこのイベント。普段なかなか入りづらい骨董屋さんとお話ししたり、骨董を真近で見ることができる絶好の機会です。

お気に入りの骨董屋さんを見つけたいけれど、どこへ行っていいかわからない、という方も自分のアンテナにピンとくる骨董屋さんとの出会いがあるかもしれません。

五拾画廊では今年も浮世絵、春画をメインに骨董を出展いたします。葛飾北斎や月岡芳年など、質の高い作品を取り揃え、皆様のお越しをお待ちしております。

また、毎年大人気の、インテリアとしても飾れる川瀬巴水の後摺り(後摺りについての解説はこちら http://www.fifty-gallery.com/column/620/ )もお手頃なお値段で額装をして販売しております。

是非足をお運びください。

今回、芳年も出品しております!

http://www.japantique.org/top.html

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たかが紙一枚、されど紙一枚 / 第五回

2017年2月2日  


 

〜 浮世絵の広大な裾野、明治版画の世界 〜

文と構成:吉 いと子


 

侮るなかれ、明治版画の魅力

江戸時代に最盛期を迎えた浮世絵≒版画の世界。どうやら巷では、その美術的価値やデザインとしての斬新さに、再び熱い視線が集まっているご様子。各地で次々展覧会が催されるなど、この現代においても尚、江戸の浮世絵がやんややんやともてはやされております。どの時代にあっても、作り手の「本気」は人々の心を打つというなによりの事実。

そんな中、なんとな〜くスルーされがちなのが明治版画。

前回の記事でも触れたのですが、時代の波に飲まれ、なんとな〜くやさぐれざるをえなかった明治版画の微妙な立ち位置は、若干、気の毒ですらあります。美術だのデザインだのに粋を尽くすという絵師、彫り師、刷り師、版元の情熱に陰りが見え、おかしな方向に舵を切った版画も数知れず、ではあります。

いやしかし、侮るなかれ、明治版画。明治初期には短期間ながら錦絵新聞なるものが発行され、写真には及ばぬイマジネーションと創意工夫の最先端メディアを担っておったのです。また、ショッキングピンクや鮮やかな赤、どぎついほどの紫などのポップな色使い、従来よりも戯画化された漫画の原点を見るような絵柄はいたって現代的。案外親しみを持つ方も少なくはないのではないでしょうか。

今回はそんな明治版画の中から、いくつかのジャンルをご紹介しましょう。

国会もの
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歌川国輝「帝国議会衆議院銘鑑」明治23年(1890)

これぞ、江戸にはない!決定的明治版画と言えるのではないでしょうか。なにしろ、江戸時代にはまだ「国会」は無かったのですから。

ずらり、当代の政治家さんたちが錦絵化されております。赤、青、黄色のどぎついほどの色味が特徴ですが、根本的には日本画の配色を踏襲しており、かつての錦絵の描きこまれた女性たちの着物の柄の代わりに絨毯の柄を描きこんであります。黄色い文字の枠の部分には、実在の政治家たちの名前がずらりと並び、その歴史的価値にも興味をそそられます。

ちょっと面白いのが、今では即座にクレームがきちゃいそうだけれど、取材せずにイメージ先行で描いちゃった絵も多いらしい、ということ。色味や服装、顔に至るまで正確とは限らない…けれど新聞になってしまうあたり。なんだか牧歌的な風情があります。

史実の資料と照らし合わせて改めてみてみると、あれこれツッコミどころも発見もありそうな…。お手元に一枚あれば、長〜く楽しめる作品とも言えます。

おもちゃ絵

江戸時代に発祥した「玩具絵(おもちゃえ)」は一つのジャンルとして既に確立されていたものですが、特に明治の玩具絵は明治版画ならではのキッチュな色合いとキュートな柄がマッチして、今見てもキュンとします。

子供向けの絵や図鑑、メンコ、すごろく、福笑いなどが制作されたそうです。ここに掲載した五拾画廊所蔵の「玩具絵」は、一体どのような用途に使うものだと思いますか?

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歌川芳藤「志ん板冬物いせう」明治12年(1879)

形的にも、一目ではわかりづらい玩具絵。とにかく切り抜いて組み合わせるもの、というイメージはできます。厚紙とかで裏打ちして箱のようなものを作ったのかな?と私は想像しておりました…が、すっかり降参したところで我が店主、正解を教えてくれました。

なんと正解は、姉様人形の着せ替え用の着物、だったのです!なんて贅沢なお着物!

猫、ネズミ、カエル、軽業をする子供?…この柄のならび。当時の人も「カワイイ!」って黄色い声を上げたにちがいありません。今見ても、一瞬用途はよくわからない、だけど、カワイイ。

英字
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月岡芳年「見立多以尽 洋行がしたい」明治11年(1878)

この時代に特徴的なのが、盛んに浮世絵に「英語」が登場するところ。
上の作品は、英語の本を読む若い女性。どうやら、留学に思いを馳せている様子。時代の流れで、女子も女学校などで英語を習ったりすることがメジャーになったのがよくわかります。文明開化の薫り。着ているものも普通の着物をアレンジしていてハイカラです。下に着ている赤いチェックはなんとネルシャツ!!当時の流行だったそうです。おしゃれさんですね。

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小林清親「東京小梅曳舟夜図」明治9年(1876)

なんと、タイトルなどを英字表記している作品も。

こちらの小林清親の作品は、構図もどことなく西洋風。それまでの日本にはなかった、「光線画」と名付けられた陰影の表現が見事な作家です。
「教育いろは談語」という連作の中で英語ブームを揶揄した作品も残している清親ですが、英語はやっぱり、当時の最先端だったのでしょうね。

さて、次回は、いよいよ稀代の浮世絵師、月岡芳年を特集しようと思います。お楽しみに!

 

吉 いと子 (五拾画廊たまに手伝い、フリーライター)

☆五拾画廊ホームページ連載「たかが紙一枚、されど紙一枚」では、皆さまからの浮世絵にまつわるご意見、ご要望、ご質問をメールで受け付けております。皆様からのお声はしっかり記事に反映させております(実は)。お便りをいただいた方の中から、厳正な抽選の上、特製「春画ポストカード」をプレゼント!お便りの宛先はこちら。→info@fifty-gallery.com

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<お知らせ>

お客様からのお声を頂いて、今回より当連載に登場する作品の詳細を、一部ホームページ上にアップすることにいたしました。是非ご高覧ください。

歌川国輝「帝国議会衆議院銘鑑」明治23年(1890)

歌川芳藤「志ん板冬物いせう」明治12年(1879)

ねずみ

カエル

軽業師

月岡芳年「見立多以尽 洋行がしたい」明治11年(1878)

たかが紙一枚、されど紙一枚 / 第四回

2016年12月2日  


 

〜 浮世絵のニュージャンル…!?? 〜

文と構成:吉 いと子


 

今から20年くらい前になるでしょうか。筆者が「カスはが」の存在を知ったのは。

「カスはが」すなわち、観光名所などで売られている「なんで?」「誰が?」このハガキを作ったのか??と思わず目を疑う不穏なハガキ。(みうらじゅん先生提唱)

デザインが??のものもあれば、図柄や写真が???なものもある。きっと悪気はなかったのだろうと思えるものから、果たして善意なのか悪意なのか…見たこちらの心が掻き乱されるような絵はがき、それが「カスはが」。

今回のお題は、そんな不穏な絵はがき、ならぬ一目見たら心が千々に乱れる不穏な浮世絵。これを「カスはが」に倣ってここでは「カス版」と呼びたいと思います。

「カス版」とはすなわち今、その芸術性が改めて見直されている浮世絵の中にひっそり佇む(たたずむ)「???」だらけの浮世絵。しかしながら、数々の災害に耐え、数々の物理的天敵に打ち勝ち…100年、200年経っても尚現存する大変貴重な版画…とも言い換えることができます。(紙に摺った浮世絵の”物理的天敵”に関しては過去の連載をご参照ください)

…いやいやしかし、実際にここで取り上げようと「カス」レッテルを貼ってしまう浮世絵を選んでおりますと、絵師、摺り師、彫り師さん総出でこの一枚が摺られるまでの長い道のりと手間ひまに想いを馳せ…安易に「カス」などというのが申し訳なくなってしまいます…。

しかしここは一旦、今回取り上げる作品たちに「悪気はないのよ」と合掌して…それをあえてカス版と呼びたくなるその所以(ゆえん)から、先ずはお話ししましょう。

カス版のカス版たる所以

これまでこの連載でも取り上げてきた浮世絵(春画含む)の魅力というのは、稀代の絵師たちがしのぎを削り、色数や線の強弱など版画ならではのいくつもの制約の中で、デザイン性、芸術性を高めていった「平面の極限に迫る、世界的にも類い稀なる斬新さ」に尽きるのではないか、と思います。

浮世絵には、写真のなかった、もしくは普及していなかった当時、流行りの役者さんや芸者さん、気軽に行くことが叶わない遠くの風景、その時々の風俗や事件、物語などを伝えるとても大事な役目もありました。新しい浮世絵の刷り上がるのをみんながワクワク、楽しみにしていた…当時の最先端メディアだったのではないでしょうか。

それが後期、江戸の終わり頃から明治になりますと、ブームの沈静化、写真や印刷技術の普及、そしてどんな創作物にも立ちはだかる壁…「新しいアイディアの頭打ち」…浮世絵にもじわりと斜陽が。

それでも絵師彫師摺り師さんは現役だし、出版社さんもシリーズものはできれば続けて行きたい…と思ったのではないか?と想像されます。そんな斜陽期に摺られた長年続くシリーズ「風俗もの」(当時の風俗を描いたもの)の中にはヒネったつもりが空中一回転して…スベった…?ものも多い、ということなのかもしれません。(失礼千万、ご容赦ください)

しかしながら、この時期生まれた版画には、むしろ芸術性とはまた別カテゴリーの振り切ったような、思い切った味わいがあります。ここであえてカス版、などと呼んではいますが、そんな日陰の浮世絵たちへ愛を感じずには居られず、むしろ親しみを込めてつけた愛称、というわけです。

では、実際にいくつか、五拾画廊の倉庫奥深くに眠る「カス版」たちを見て行きましょう。


まずはこちら。

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【歌川広景 / 江戸名所道戯画 芝赤羽橋の雪中】

江戸時代、広重の弟子 広景による風俗版画です。

広重の名所江戸百景にも似た、江戸の風流な雪景色…と思ったら、中央、お尻丸出しいではしゃいでいる御仁が。いったい何をはしゃいでいるのか??と思いきや、どうも雪に滑って転んだ様子。橋を行き過ぎる旅人が、お尻丸出しの方が飛ばした下駄にアッパーを食らってる…そして「見ないふり」してそそと通り過ぎる美人…?

なぜあえてこの図柄にしたのかは謎です。師匠のパロディーのような?北斎漫画の影響もあるのでしょうか?それにしてもじわりとくるインパクト…

 

ではお次。

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【歌川芳幾 / 江戸砂子子供遊び 高輪大木戸】

江戸後期の河原沿い。どうやら大人も子供も一緒になって小さな打ち上げ花火を楽しんでいる図のようです。

そうか、この頃から家族で楽しむ小さな打ち上げ花火ってあったんだね…!という感慨も打ち消す、画面中央右の丸出し男子。

…っていうかアンタ、なにしてんのさ…

ナゾです。ナゾすぎる。

ナゾだけどある意味並みの春画より強烈かも。

 

さて、お次

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こちらは作者不詳の、明治初期の浮世絵。

風俗を描いたものには違いないのですが、メインの文字は「勉強する童男(わらべ)」。塩せんべいやにて。その店先では駒を回して遊ぶ男子、そしてわんちゃんをいじめて?いるけしからん子供たち。中央の大人はちょっと縮尺的に大きすぎます。うーん。従来の浮世絵はデザイン性の高さや、「含み」や知的な「比喩」「暗喩」の面白みを味わうのが醍醐味だとすると、これはいったい…。この当時のことを考えると、西洋絵画の構図を浮世絵に落とし込んだのかもしれない、とも考えられますが…ナゾです。まあ、前の二枚のようにまるだし系でないだけいいのかな…。

でも何度か見返すとじわじわくる…。

カス版は実際、結構レア物!

…とまあ、今回は3点だけですが、こうして見て行きますと、カス版に共通するどこかやさぐれているような、どこか投げやりにも思える荒っぽい感じ…というのは、もはや浮世絵の技術があってもかつての熱狂も注目も集められない、ここでデザインや技術を競う意味がない、ということなのでしょうか。とすると、逆になんだか切ないような気すらしてきます。やはり作者のモチベーションというのは「受け手があって」初めて燃え上がるものなのかもしれませんね。

その芸術性において、全盛期に比べれば価値を見いだされにくい後期浮世絵ですが、「だからこそ摺られた面白い図」の視点で探してみると、案外ニュージャンルのお宝を開拓できるのかもしれません。

「カス」とか言っちゃってますが、美術館や図録でも滅多にお目にかかれない実は案外レア物でもあります。新しい版画のマニアックなコレクションとして、いかがでしょう。カス版。

この特集は、「これは!」という作品をまた新たに発見した際は、第二弾を開催してみたいと思います。

 

さて、では次回は、現代においてまだフィーチャーされることが少ない色味も鮮やかな「明治版画」について特集してみようと思います。おもちゃ絵、国会モノなど、珍しいものもたくさん登場します。お楽しみに!

 

☆五拾画廊ホームページ連載「たかが紙一枚、されど紙一枚」では、皆さんの知りたい浮世絵にまつわるご質問をメールで受け付けております。お寄せいただいたご質問の中から厳正な抽選の上、当連載の本文中でご回答させていただきたく思います。採用された方には特製、春画ポストカードをプレゼント。→ info@fifty-gallery.com へどしどしご応募ください♪さあ、遠慮なさらず。

吉 いと子 (五拾画廊たまに手伝い、フリーライター)

 

たかが紙一枚、されど紙一枚 / 第三回

2016年9月30日  


 

〜 浮世絵が欲しい…! 〜

文と構成:吉 いと子


この絵欲しい…!

浮世絵に限らずですが、美術館で展示を見た時にそんなことを思ったことはありませんか?

でもまさかね、美術館にあるものが買えるわけがない…と思うわけで、ついつい展示出口のミュージアムグッズショップにふらふらっと立ち寄って図録やポストカードやクリアファイルを買って満足…。が普通の感覚かも。

特に最近流行りの歌川国芳の浮世絵なんて、猫はいるし、ゆるキャラはいるし、あまりにかわいいので、欲しいなぁ…浮世絵…なーんて思った、という方からのご質問から意外と知られていない浮世絵の買い方についてのお話を。

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(参考作品)「猫の当字 なまず」1841~1843年頃 作:歌川国芳

なにしろ、グッズなどでは表現しきれない色や彫りの立体感、キラキラ光る雲母摺(きらずり)など、イマドキの印刷物と同じく平面だと思っていたのに、実物を見るといろいろな仕掛けがあってグッときちゃう…!のが浮世絵なのですから、やはり本物が欲しい、と思われる方も増えているようです。

実は、浮世絵は美術品の中でも、もともとは庶民の気軽な楽しみのために作られたもの。有名な絵師の浮世絵であっても、インテリア雑貨を買ったり、家具を買うような気分で案外お手頃に手に入るものもあるのです。

 

「…とはいえ一体どこで買えるの??」

当五拾画廊は、路面店でなく予約制の画廊です。ちょっと敷居が高いかな、と思われる方もいらっしゃると思いますが、もちろん、お問い合わせ頂ければ一般の方でも作品をご覧いただけます。

でも、もっと気軽に実物を見たい…といった場合に、どんな方法があるか?実際買っちゃってもどうしたらいい?筆者なりのオススメ方法を、今回はお話ししようと思います。

浮世絵の実物が眠っている最もお手頃感のあるのは骨董市。最近はネットオークションなどにも出ることがあります。

ただし、残念ながら贋物、状態の良し悪し…なかなか見極めるのは難しいものです。浮世絵画廊をたまに…ではありますがはや10年ほどお手伝いしている私も、いくら見分け方を教えてもらってもなかなか(初級編の見分け方は連載第二回参照)。もちろん、見て歩いて(ネットで)サーフィンして、気軽に買ってもいい値段であれば気に入ってものは試しに買ってみるというのもいいと思います。

でも、実際に買う時、私がおすすめしたいのは、案外知られていない「日本浮世絵商協同組合」に加入している画廊さんを探すことです(五拾画廊も加入しております)。

 

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こちらのマークの付いた「日本浮世絵商協同組合」は世界規模で会員さんがいて、「本の版画の公開オークション事業を通して、正当な価格での取引が行われる安全な流通市場を提供し、豊かな日本の文化遺産の保護・評価に貢献することを目的とする。」というコンセプトのもと、しっかりと鑑定を受け、市場適正価格で購入するのに安心なマークなのです。意外と知らなれていないのがもったいないくらい。

こちらの主催する公開オークションに参加してみるもよし、検索して加入している画廊さんを探すもよし。神保町は世界的にも最も浮世絵を扱うお店の多い街なので、実際歩いてお店でこのマークを探してみるのも良いかもしれません。鑑定眼もしっかり持った店主さんがいらっしゃるお店というマークでもあります。

激レアなものであればそれこそ数千万、億、という金額のものもあるのですが、実際に当時摺られた浮世絵であってもそれこそ雑貨やインテリアの感覚で、数千円から数万円で買えるものも多くあります。店に並べているのは商品のごく一部、です。好きなタイプの図柄や好きな絵師さん、予算を店主さんに伝えれば、在庫から探してくれたり、仕入れの時に探しておいてくれたりときっと好みに合ったものを探し当ててくれるでしょう。

実は、最も大事なのはここ→店主さんとの相性

これは浮世絵に限らずですが、感覚や、趣味、気の合う方が見つかれば話も弾み、きっとイメージに合った自分だけの宝物が見つかるに違いありません。

それでもいきなり画廊さんに行くのはなんだかおっかない…という方は、浮世絵に限らず多くの画廊さんが出店するアートフェア東京や、画廊さん、骨董屋さんが集うザ・美術骨董ショーなどで自分と趣味の合いそうなブースを見つけてみるのもオススメです。

 

「買っちゃったけど…どうしよう?」

さて買って、どうするか。

もちろん、コレクションとして収集する目的であれば所有しているということが喜びなわけですが、せっかくです、一番初めに買ったお気に入りは、是非お家に飾ってみてはいかがでしょうか?

…うち床の間ないしなあ…表装ってお金かかりそうだしな…

当然ながら、古き佳きで床の間に掛け軸、のようにしたっていいのですが、今の住宅、今のトレンドのインテリアに合わせ、お気に入りの額に入れて飾るのも楽しいと思います。思い切ってモダンな真っ赤な縁とか、油彩のようなデコラティブな額に入れるというのも絵柄によっては斬新で良いかもしれません。まずは気軽に入れる新宿世界堂のような専門店で比較的安く額をあつらえても良いと思いますし、お気に入りの額縁店を見つけてこだわりのオーダー額を作ってみても楽しいかも。※ネットで注文できる額屋さんも増えています。ご参考までに五拾画廊でもお願いしている額縁屋さんです。ガクブチのヤマモト

浮世絵額のおすすめは、フレームが細めのシンプルなもの。額縁とマットの色で全く印象が変わるので、額縁店に相談しても良いし、買った画廊さんに額装の相談をするとお店を紹介してくれたり、(シンプルなものが多いですが)額付きにしてくれる場合もあります。

…え、色が褪せちゃうんじゃないの?虫喰いは大丈夫??劣化が心配だなあ…

とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、浮世絵と一言で言っても、時代や作者によって使っている顔料なども異なるし、色味によっても退色しやすいもの、しにくいもの様々です。これは鑑定ができる店主さんのいるお店で買うメリットでもあるのですが、その顔料の特性なども聞いて飾り方にアドバイスをいただいてみてください。直射日光や湿気を避ければ、案外気軽に飾れるものも多いんです。玄関や居間に一つ、絵があるだけでグッと雰囲気も変わりますよ。

※注意事項としては、額装のために縁を切っちゃったり、トリミングしたり、は浮世絵の価値を損ないます。また、マットに固定するために裏に貼るテープの種類によっては紙を劣化させるものもありますのでご注意ください。詳しくはご購入の画廊さんにご相談ください。

 

さて、次回は、そんな流通している浮世絵の中でもおそらく美術館にも飾られることは少なく、なかなか人気も出ないであろう日陰の浮世絵…筆者が敬愛するみうらじゅん先生が収集されている「カスはが」(セット売りの観光のハガキの中でも使い道の乏しいであろう不穏なハガキ)ならぬ「カスはん(版)」をピックアップしてみたいと思います。

…えーと、なぜわざわざこの図柄を?と目が点になるような五拾画廊所蔵の珍品も公開ですよ!お楽しみに!

☆五拾画廊ホームページ連載「たかが紙一枚、されど紙一枚」では、皆さんの知りたい浮世絵にまつわるご質問をメールで受け付けております。お寄せいただいたご質問の中から厳正な抽選の上、当連載の本文中でご回答させていただきたく思います。採用された方には特製、春画ポストカードをプレゼント。→ info@fifty-gallery.com へどしどしご応募ください♪

吉 いと子 (五拾画廊たまに手伝い、フリーライター)

 

〜お詫びと訂正〜
第二回連載に次回更新は8月末、と書いてしまいましたが、9月末の誤りでした。お詫びして訂正いたします。当連載は約二ヶ月に一度の更新となりますので、次回は11月末の予定です。

※お知らせ※
この連載をアップするのが2016年の9/30ですが、ちょうど二日後の10/2(前日に下見会もあり)に、日本浮世絵商協同組合のオークションがあります。どなたでも参加できますし、豪華カタログも入手できますので興味のある方は加盟リストの画廊さん、もしくは当画廊までご連絡ください。

たかが紙一枚、されど紙一枚 / 第二回

2016年8月2日  


 

〜 浮世絵の素朴な疑問<初級編> 〜

文と構成:吉 いと子


普段は完全予約制でお客様をお迎えする、五拾画廊。

一昨年から骨董ショーなどのイベントで、気軽に浮世絵に触れていただく機会を設けております。
その際、多かったお客様からの「素朴な疑問」をあつめてみました!

さて、ひとつめの「ソボクなギモン」。

「これって最近摺ったの?」

これ、実は一番くらいに多い質問なのです。

「昔のものだから黄ばんだり穴が開いたりしてボロボロに決まってるでしょ」と思われる方も多いよう。もちろん、保存状態によっては昔のものですから、いかにも「古いもの」感がにじみ出た、ボロボロになってしまった作品も多数あります。

なぜって、当時の「浮世絵」はかけそば一杯程度の値段で買えたのです。

今でこそ「古美術」として珍重され、うやうやしく美術館でガラス越しに眺めるようなものとなっておりますが、誤解を恐れずに言うならば、現代に置き換えるとアイドルのポスターとかプロマイドに限りなく近いものだった、とも言えるでしょう。人によってはべたっと壁に貼っちゃったり、飾る都合に合わせて端っこを切っちゃったり…折り曲げて持ち歩いたり…その辺にぽいっと置いて日焼けも虫食いもそのまま、なんて、かなり気軽に扱っていたそう。

浮世絵版画は「紙」ですから、そもそも物理的に天敵は多いのです。

・陽焼け(変色、退色)

・虫食い

・水濡れ

・切断(結構汚れたところや余白を気軽に切っちゃう方も…)

・折り曲げ

・シミ

…などなど。

その上、江戸をたびたび襲った火災や天災、幕末の戦乱、空襲等。その諸々を命からがらかいくぐったのがいわゆる「保存状態の良い浮世絵」猛者、というわけ。状態の良い浮世絵が数多く発見されるのが、当時から珍重し大事に保存してきた海外だというのも、納得がいきますよね。

このように様々な条件が合わさって、「最近摺ったの??」と見間違えるほどに、現代においても美しい状態で残っていることもあるので、皆さん驚かれるようです。

特に人気のある図柄、初摺り(初摺りについてはまた後ほど)というダブルコンボのものは、大変貴重です。

「なんで同じ図柄で値段が違うの?」

前述のように、「状態の良いもの」というのは、お宝浮世絵の一つの条件となります。

古本屋さんで古本を買う時を思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。陽焼けのないもの、折れ、スレのないもの、書き込みや汚れのないもの…新品同様の「保存状態の良いもの」はやっぱりそうでないものより高値であることが一般的です。

そしてもう一つ、特に活版で刷られた本ですと、一番最初に刷られたものは「初版第一刷」などと言ってやはり高値がつく場合も多いです。浮世絵の版画でこれに相当するのが、先ほど申し上げた「初摺り」なのです。

浮世絵を摺るのに使うのは木版ですから、数をこなす事で当然、磨耗してきます。この理由から、最初に摺った200枚前後が、発色や線の美しい「初摺り」と言われているのです。

初摺り以降は色を省略したり、ディテールを省略することが多く、形もちょっとぼやけたり、グラデーションが単色になっていたり…。この幾つかの条件と保存状態のの違いで、いわゆる「レア度」が変わり、同じような図柄でも値段が変わる、というわけです。

広重の有名な「東海道五十三次之内 日本橋 朝之景」はそのイレギュラー版。色味やニュアンスは省略されているけれど、なんと、絵柄自体が変わっています。人が増えてる…??

それがこちら↓

No.0011833年頃

No.0021835年頃

ここまでわかりやすい違いは珍しいけれど、間違い探しのようにじっくり見比べてみると、私のような知識聞きかじりの素人目にも違いがどんどん見えてきます。この「違いを見分ける」ことによって、より楽しくなっていくのも浮世絵鑑賞の楽しみ方のひとつではないでしょうか。

「写楽って人気がなかった…ってホント?」

今でこそ海外でも評価の高い謎の絵師、東洲斎写楽ですが、実は当時、人気がなかったらしいのです…!ただしこれには諸説あります。人気がなかった、という理由は人物を誇張したりリアルに描きすぎたりすることが、当時としては斬新すぎて買う人が少なかったため、と言われています。

東洲斎写楽がなぜ「謎の絵師」と言われているかといえば、無名の絵師にもかかわらず、当時人気だった版元の蔦屋(代官山蔦屋、TSUTAYAの名前の由来ともなった版元さん!)が「売れる!」と確信した版画にだけ用いる雲母摺(きらずり)など材料の原価の高いものを使用してリリースしているというミステリーが。

そんな蔦屋さんの心意気にもかかわらず、人気が出なかったため写楽は増摺が少なく、摺られた数そのものが少ないと言われています。

「今、人気があるのに、現存する数が少ない」…これも必然的に高値となる一要素です。

※参考作品

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「市川鰕蔵の竹村定之進」1794年頃 作:東洲斎写楽

「新版画、再版画って何??」

新版画、再版画、って耳にされた事はあるでしょうか?
実際に「浮世絵欲しい!」と思って買いに行ったら、迷ってしまいそうな言葉です。

「新版画」というのは全く新しい価値観で作られた明治期以降の版画のこと。
渡邊木版美術舗という版元さんが、「木版画には美術的価値がある」と提唱。”美術としての木版画”を作り始めたのが最初、と言われています。その理由は…江戸期以降の「写真」の登場が大きなターニングポイント。
それまで、浮世絵が担っていた旅先の風景を伝える役割や、風俗を伝える役割、役者などのプロマイド、新聞の事件記事のイメージ画…絵師、摺り師、版元が凌ぎを削ったこの革新的ビジュアルムーブメントは、残念ながらこの時期役目を終え、写真へと移行して行ったのです。
ならば、と版画に新しい価値や意味づけを与えようと革新的な発想で作り始めたのが「新版画」なのだとか。
この「新版画」カテゴリーで美術品として作られた木版画の代表的なものは伊東深水、橋口五葉、川瀬巴水など、美人画、風景画が有名です。

※参考画像

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「髪」1952年頃 作:伊東深水

一方、”最近摺ったもの”というカテゴリーに分類されるのは、元々の版木を現代の摺り師さんが摺る「後摺り」、そして人気の絵柄を版木から作り直した「再版画」。これはいずれも比較的お手ごろな上に、当時の摺りたての雰囲気を味わえるので、気軽に飾るインテリアとしてもおすすめです。(現代の彫師、摺師の方の職人技も堪能できます)

現存する人気の絵柄のものは「後摺り」もしくは「再版画」が多いのですが、見分けるコツは紙の違い、色の違い(使っているインクが違う)、そして左下に刷られた版元名。もしも実物を目にする機会があれば、チェックしてみてくださいね。

※参考画像

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「神奈川沖浪裏・再版画」1830−31年頃 作:葛飾北斎

さてさて…次回は、そんな素朴な疑問がちょっぴり解消したところで…

浮世絵、買ってみたい!飾ってみたい!!…でもいったい、どうしたらいいの??

買い方、飾り方のおすすめなどをまとめてお伝えしたいと思います。

 

☆五拾画廊ホームページ連載「たかが紙一枚、されど紙一枚」では、皆さんの知りたい浮世絵にまつわるご質問をメールで受け付けております。お寄せいただいたご質問の中から厳正な抽選の上、当連載の本文中でご回答させていただきたく思います。採用された方には特製、春画ポストカードをプレゼント。→ info@fifty-gallery.com へどしどしご応募ください♪

 

吉 いと子 (五拾画廊たまに手伝い、フリーライター)

※今回は都合により連載の掲載が遅れましたことをお詫び申し上げます。次回の連載更新は8月末9月末の予定です。お楽しみに!

 

 

たかが紙一枚、されど紙一枚 / 第一回

2016年4月26日  


 

〜 春画は愉し 〜
※18歳未満の閲覧はご遠慮ください

文と構成:吉 いと子


日本でも画期的だった??永青文庫の春画展
2013年にイギリスの大英博物館で行われた初の大規模な春画展は、日本の美術界でも大きな話題だったそうです。何が話題になったって、「来るのか??この展示は日本でできるのか??」というドキドキワクワク、ソワソワがそりゃぁ大変だったそうで。
そんな中、2015年に永青文庫で行われた春画展はまだ記憶に新しいところです。この連載をお読みになっている方の中にも、「行った!行った!」という方、多数いらっしゃるかと思います。連日大盛況で、平日足を運んだという方たちの話を聞いても、牛歩移動でおしくらまんじゅうだった、とのこと。しかしやはりと言うかなんと言うかこの春画展、開催までの道のりは主催者関係者さんのそれは大変なご苦労があったとか。
日本で日本の美術の展示ができない??…そう、それは何故ならそれが「春画」というジャンルだからです。当HPでも、春画のページは「18歳未満お断り」。この連載だって、後で春画の画像をペタッと貼り付けちゃってるから18歳未満は禁止です。春画は日本では「美術」だけれど「タブー感」満載。
でも、大英博物館みたいな伝統のあるところで展示できたのであれば、イギリスでは春画は「美術」でありタブーなんかじゃないってこと?…疑問はいろいろ湧いてきます。

そもそも春画ってなに?どうやって楽しむもの?美術なの??一体なんなの??

そんな問いの答えの一助となればと、今回の春画展や春画の歴史、楽しみ方についてちょこっとお話ししようと思います。

蓋を開けたら大盛況!これぞ春画のサードウェーブ?
冒頭で書いたように、日本ではそんなタブー感が色濃い中、そもそも展示できるのか?場所を貸してくれる美術館があるのか?とドキドキハラハラ、開催が危ぶまれたという春画展。永青文庫さんで開催が出来たおかげで結果的に大人気の素晴らしい展示となったのですが、当初はこれほどまでに老若男女が押しかけて熱気ムンムン、大盛況になるとは…まさかまさか、だったと思います。
どれだけ大変だったか??はこちらの記事をご参考に
当五拾画廊にも春画のお問い合わせはとても増えたとのこと。春画への興味がもともとあった方、これを機に興味を持たれた方、何はともあれ、春画が再び注目を集める絶好の機会となったわけです。
私も一個人として「春画展行った。良かった!」という友人知人のSNSの投稿をたくさん見かけました。どんな人が興味を持っているのかなあ、と周りを見渡すと、美術が好きな方はもちろん、アニメが好きな方や歴史が好きな方、カメラ、音楽、雑誌編集、マスコミ系など幅広くクリエイティブ系のお仕事の方が特に興味を持たれているなあという印象がありました。
各々の記事を見ると、「春画を永青文庫に見に行った」がちょっとしたおしゃれなステータス感すら醸し出している感じ。まるで流行のコーヒーショップに行った、という気軽さで皆さんが春画を語っているライトさが、まるで江戸庶民の春画の楽しみ方そのものだ!と愉快にすらなってきます。
そう、昔の江戸庶民にとっての春画は決してタブーな18禁ではなく、みんなで楽しむ小粋な文化だったのです。

「〇〇って絵師の新しい春画出たらしいよ」
「マジで〜それ買おう!いつ発売かな?」
「お!それ気になってるんだよね、買ったら見せて見せて!」

今時のエッジな新製品に心躍らせる若者たちとなーんの変わりもない、当時、それはそれは楽しいものだったようですよ。

永青文庫理事長の細川護煕氏も春画の魅力について語っていらっしゃいます

パッと見のインパクトも魅力、ディテールも魅力!
日本人の眠ったDNAへの刺激なのか?こんなにも人々に支持されていたことがじわじわ明らかになった春画。そもそも春画の魅力とは一体何なのでしょう?
実は春画は、こっそり隠れて見るポルノグラフィティとはちょっと違うもの。上でリンクを貼った記事でも触れられていますが「笑絵」という面白おかしいものだったのです。
春画が最も盛んに刷られた江戸時代の周辺は、とにかく絵師のクオリティが高く、豊富だったことはご存知の方も多いはず。
師宣、春信、歌麿、北斎、広重、国芳、芳年…
春画の残っていない絵師は写楽だけだったとの説があるくらい、どの絵師も各々の趣向を凝らし、こぞって春画を描いていたのです。
個人的に私自身も好きで、周りにもファンが多いと感じる有名な春画はこちら。

 

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「蛸と海女」1820年頃 作:鉄棒ぬらぬら(葛飾北斎)

葛飾北斎の図です。(…ペンネーム!笑)
タコに襲われている美女…まあなんて艶かしいのでしょう。確かにエロティックだけれど、構図の迫力に目を奪われます。この他にも目を奪われるような衣装の美しい描き込みのあるもの、とんでもなくグラフィカルなもの…とまあ問答無用に視覚に訴えかけてくる春画は内容なんて分からなくても「すごい!」「かっこいい!」「美しい!」と感動できるのですが、春画の楽しみ方は、実は見た目だけじゃないんです。

「笑絵」としてのユーモアに富んだ春画の中には、シリーズ物として楽しめるものもあります。画面端にあらわれる流浪の性の探求者、「豆男」に注目。秘薬で小さくなった主人公・浮世之介が「真似ゑもん(まねえもん)」と名乗り、色道の奥義を探求するという物語。現代の私たちにはにょろにょろっとした模様にすら見える文章を合わせて読むことで、豆男のツッコミの面白さを堪能できます。
例えばこの図、さあ、豆男はどこ?

 

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「風流艶色真似ゑもん」明和7年(1770) 作:鈴木春信

真似ゑもんは「やりクリ仕間」(…なんじゃそれ)を訪れ、不義を働いた夫が奥さんに捕らえられる場面に出くわします。襖の向こうに夜具が見えるので、どうやら男は夜中に起き出して、隣の部屋の若い女のもとへやって来た模様。行灯(あんどん)を手にした奥さんが起きてきて夫を捕らえ、そのフンドシをひっつかんで夫をズルズルと部屋から引きずり出しているところで、男はすっかりショボーンとしており(図のごとく)、片手を上げてゴメンナサイポーズ。ぷっくりお腹と、そこに巻かれた岩田帯から奥さんは妊娠中らしい。画の中の会話から若い女子は妊娠中の奥さんのお手伝いさんなのが読み取れます。恥ずかしさなのか眠さからなのか顔を覆いながら「もしおばさん、みんなわたしが悪い。かんにんして下さんせ。」なーんていって謝るところを見るともしや夫を誘惑したなかなかの悪女?その着物の陰から真似ゑもんがひょっこり顔を覗かせて、「サア、山のかみのごしんがもへだした。是はなかなかこんやのせんさくにはいかぬこと。」と宣っております。どうやらこの修羅場をヒューヒュー冷やかしながら楽しんでいるというわけ。
さて、次の図。

 

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「風流艶色真似ゑもん」明和7年(1770) 作:鈴木春信

寺子屋にいる真似ゑもん。手習いにきた少女を襲う師匠の様子を机の端からこっそり覗いております。師匠は、振袖の少女の上に無理矢理のしかかって「おらんもおとんもおひぬかせて、此つぎにハちか道、子だからをおしよふが、それでもいやか。まま一ツ時こらや。(同級生のいない間にもっと大事な子作りのやり方を教えてやるからちょいとがまんしなっ(意訳))」少女は男を押しのけながら「あれあれおししやうさん、かんにんして下さりませ」。画面上の詞書は、師という立場を利用して女を無理やり手篭めにするなんて全く非道じゃっと述べているし、真似ゑもんも女性に同情的。これは笑えない絵だけれど、教訓的な意味も含まれて…いながら外では、オス猫ちゃんがメス猫ちゃんを襲ってるというユーモアが織り交ぜられているところが、笑絵春画、さすがです。

他にも、画面中の人物の衣装が、例えばお葬式の帰りだったり、後家さんの逢いびきだったり、当時の風俗を知っていると「なにそれ、ありえない!」「やばいでしょ!」と思わずツッコミたくなるシチュエーションを楽しむ「クスクスおかしさがこみ上げタイプ」の図もありますので、当時の風俗TPOや着物の着方、化粧の方法など知って見てみると、いろいろな発見が広がるに違いありません。
そして、下記の図は五拾画廊でも扱いがあった図で、当店 イチオシ。名手、湖龍斎(こりゅうさい)の晩年の傑作です。目線だけで語る、人物の相関図。文章もないのでじっと見れば見るほど、いろいろな想像力が刺激されてとっても面白いのです。ぜひ、じっくり見てみてください。各々の目線の先に何があるか…!

 

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「色道取組十二番」安永6年(1776) 作:磯田湖龍斎

ちょいとネタバラシをすると、この絵の中には性的に成熟した男性が3人います。
番台の親父さん、そして二人の女の子のような髪結いをした男子。お金を払うと体を洗ってくれるサービスボーイ達(三助(さんすけ))です。さて、番台の上の美男子の目線は?そして彼のただいまの状況は…指差す童子にバレバレ、といったところでしょうか。もう一人の背中を洗う男子は。ありゃ、洗われている年増女にちょっかい出されちゃってますね…。そんな各々の様子を見渡せるはずの番台の親父さんはといえば…(おや、女子には興味がないのかな…?)
とまあ、そんな読み解き遊びが楽しめるわけです。このバリエーションと知的な遊びの仕掛け。江戸の人たちが単にエロスを求めていたのではなく、新作の春画が刷りあがる度にもっと高度な発想でキャッキャッと楽しんでいた姿、想像できますよね。

 

蓋をされた春画の斜陽時代…ついに終焉か?
こんなお茶目な春画がなぜ、一体いつ背徳的なイメージを持つようになったのか…
そのきっかけは、歴史でご存知の通り江戸後期の天保の改革の「贅沢禁止令」での厳しい取り締まりと弾圧。…もありましたが、意識の上で決定的に「はずかし!」となっていったのは海外文化の進出にあったと言われています。「肉体は恥」とするキリスト教的な西洋の考え方が広まってから、笑絵=春画は「とんでもなく恥ずかしいもの」として地下に潜っていった文化だったという説。そりゃぁ姦通や淫乱を大笑いしながら見る日本人たちは、当時の西洋の人たちにはさぞさぞ野蛮に見えたことでしょうね…

…って…ハッ…!

西洋文化が否定してきたものなら、あの2013年の大規模春画展を率先して行ったイギリスでもタブーだったのでは??と思われるでしょう。実際、イギリスでも春画は、過激表現故に長年お蔵入りになっていたそうです。それがなぜ、今回の大規模展覧会となったのか?

ご参考に。大英博物館の春画展キュレーターのインタビュー

イギリスでも16歳未満は保護者同伴、だったようですが、その展示は世界的にも高い評価を受けました。学術的価値による再評価、といったところでしょうか。性を扱いながら暴力的ではなく、根本的に平和的なほのぼの図柄が多いのも注目されている点。これでお蔵入りになっていた絵たちも、報われるというものですよね。今後も春画展は海外各地で開かれる予定があるとの情報も。世界的な春画の立ち位置の変化に、ますます目が離せません。

…さてさて、こちら予約のお客様だけをお通しする神保町の小さな五拾画廊店内。かつて画廊立ち上げの時、お店の看板を「春画専門」にして春画の鑑定をメインにしたら、現代日本じゃ怪しい店だって思われちゃうかなあ、と言っていた我が五拾画廊店主。春画の立ち位置の向上に、コーヒーをいれながら目を潤ませております(春画愛)。

…まったく本当に人の価値観なんて一夜で変わっちゃうものなのかもねえ…

今日もしみじみコーヒーをすする店主と店手伝い人でした。

 

吉 いと子 (五拾画廊たまに手伝い、フリーライター)

※コラムの次回更新は6月末を予定しております。
<インフォメーション>

2016年のゴールデンウィーク、東京プリンスパークタワーにて「ザ.美術骨董ショー2016」開催!!五拾画廊のブースも出ます。春画も展示販売いたしますので是非お誘い合わせの上ご来場ください。
下記は当画廊の出品作品の一部です。

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欠題春画 明和6年頃(c1769) 作:鈴木春信
春画を見ていたカップルがその気になり行為を始めたところ、猫は起こされてしまったのか怒って抗議している場面。

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「拝開よぶこどり」 天明8年(1788) 作:勝川春章
行為が終了した後の男の冷めた表情に注目。絶対に相手の女性には見せてはいけない顔です…。

 

ブースでは春画以外にも浮世絵、現代版画など取り揃えております。
この機会に是非ご高覧ください。